コールセンターの通話料を最適化?通話料管理と顧客満足度を両立するポイント
コールセンターを運営する上で見落とせないのが
「通話料」
の問題です。
顧客からの問い合わせ(インバウンド)や営業・フォローのための発信(アウトバウンド)など、多くの電話を扱う現場では、月々の通信費が無視できない額になることも少なくありません。
一方で、コスト削減を意識して通信環境を下げすぎると、通話品質に影響が出て顧客満足度(CS)が下がるリスクがあります。
ここでは、コールセンターで発生する通話料の基本的な構造や、費用を抑えながらも品質を維持するための方法を総合的に解説し、顧客対応とコストのバランスをいかにとるかという課題にアプローチします。

なぜコールセンターの通話料が大きな負担になりやすいのか
コールセンターでは、一日あたり何百何千という通話が発生し、その積み重ねが通信費用として明確に表れます。
問い合わせ対応(インバウンド)では、顧客がかけてくる電話の料金だけでなく、フリーダイヤル(0120)を利用していれば着信課金を企業側が負担する仕組みになっているため、呼量が多いほどコストが増えがちです。
さらに、新規契約獲得や顧客フォローのためのアウトバウンド業務(発信)を並行しているコールセンターでは、発信にかかる通話料も加わり、月々の通信費が高額になることがよくあります。
また、従来のアナログ回線やISDN回線を大量に契約している場合は、毎月の基本料金だけでも馬鹿にならない数字になるケースがあります。
コールセンターが大規模化して回線数が増えれば増えるほど、通話料の管理や抑制策を真剣に考えないと企業の収益構造に影響を及ぼしかねません。
コールセンター通話料が顧客満足度に与える影響
通話料の問題は単にコスト面だけでなく、顧客体験にも直接関わってきます。
以下のようなポイントが考えられます。
フリーダイヤルの有無
フリーダイヤルを導入すると、顧客は通話料金を気にせず気軽に問い合わせできる一方で、企業が通話料を全額負担することになります。
多くの顧客は
「料金を気にしなくていい」
という理由でフリーダイヤルを好み、とくにクレームやキャンセルといったセンシティブな内容を相談しやすくなる利点もあります。
顧客満足度向上を狙うならフリーダイヤルは有力な手段ですが、呼量が多いほどコストが跳ね上がるデメリットがあるため、企業としてはバランスを検討する必要があります。
ナビダイヤルや市外局番の利用
フリーダイヤルの代わりにナビダイヤル(0570)を利用すると、通話料金の一部または全部を顧客負担に切り替えられますが、
「通話料が顧客側にかかる」
という事実が問い合わせ意欲を下げる可能性もあります。
市外局番による電話番号を使うと、地域ごとの通話料金設定になり、全国対応のビジネスでは顧客が住むエリアによって負担感が変わることもあります。
通話品質の低下によるリスク
無理に通信費用を下げようとして回線やインフラを安価なものに変えた結果、音声が途切れたりノイズが入ったりすると、かえって顧客満足度が下がり、通話時間が延びるなど悪循環が起こりえます。
クレーム対応や高額商品の問い合わせなど、音質の安定が求められる場面ほど通話品質の差が大きく結果に影響する点に注意が必要です。
コールセンター通話料の基本構造

インバウンド通話料(受電)
企業のコールセンターにかかってきた電話に対して発生する費用です。
フリーダイヤルの場合は全額企業負担、ナビダイヤル(0570)の場合は一部または全部を顧客が負担するなど、番号の種類によって仕組みが異なります。
大量の着信が予想される業界(通販、金融など)では、このインバウンド通話料が毎月大きな割合を占めるケースがあります。
アウトバウンド通話料(発信)
営業電話や契約更新の案内、フォローアップなどで企業が顧客にかける際の通話料です。
テレアポ(テレマーケティング)を主体とするコールセンターでは、ここが主たる通信費用となります。
リストの品質や通話の効率を高めることが、通話時間を短縮し、通話料金の削減につながります。
回線使用料やシステム利用費
PBX(Private Branch Exchange)やクラウドPBX、CTIなどのインフラを使う場合、回線の基本料金やシステム利用料も通話関連コストに含まれます。
アナログ回線やISDN回線を大量に保有している企業では、毎月の固定費が馬鹿にならないため、クラウドPBXやSIPトランクへの移行などを検討するケースが増えています。
コールセンター通話料を削減するための具体的アプローチ

VoIPやSIPトランクの導入
従来のアナログ回線やISDN回線を使う代わりに、インターネットを利用するVoIP(Voice over IP)やSIPトランクを導入すると、大幅な通話料金削減が見込める場合があります。
企業やコールセンターの規模、通話量に合わせたベストなプランを選べば、初期導入コストを回収できるスピードが速いことも多いです。
フリーダイヤルの時間帯や利用条件を最適化
すべての問い合わせをフリーダイヤルで受け付けるのではなく、時間帯によって市外局番に切り替える企業もあります。
ピーク時には一般番号を使用し、比較的問い合わせが少ない時間帯にフリーダイヤルを開放するといった運用方法も検討価値があります。
また、高額商品や重要なサポートについてのみフリーダイヤルを設定し、それ以外は顧客に負担してもらう仕組みを整える例もあるため、自社の製品・サービスの特性を踏まえたルール作りが必要です。
通話時間を短縮する努力
AHT(平均処理時間)を短縮すれば、通話コストを下げられる可能性があります。
ロールプレイやモニタリングでオペレーターのスキルを向上させ、一次解決(FCR)の率を上げれば、再問い合わせの減少によって総通話量が抑えられることが期待できます。
ただし、無理な短縮を図ると顧客満足度が下がるリスクがあるため、バランス感覚が重要です。
シフト管理やコール予測を活用
過剰なオペレーター配置は人件費を上げる一方、少なすぎる配置はコールが繋がりにくくなり待ち時間が増える恐れがあります。
コール予測ツールや過去データの分析で適切なシフトを組むと、呼損を減らしつつ平均通話時間や再問い合わせをコントロールしやすくなります。
コールセンター通話料削減とCS維持を両立するポイント

音声品質に妥協しない
安価な回線やVoIPサービスを導入すると品質が不安定になる可能性があるため、通話試験や評判などをよく調べておくことが大切です。
特にクレーム対応や高額商品の契約を取り扱うコールセンターでは、音が途切れる、ノイズが入るなどの問題が顧客の不満を増幅しかねないため要注意です。
FAQやセルフサービスとの組み合わせ
通話コストを削減する方法として、FAQサイトやチャットボットを充実させ、電話がなくても自己解決できる体制を整えるのも有効です。
結果的に問い合わせ件数そのものが減少すれば、コール数が削減され通話料だけでなくオペレーターの人件費も抑制できます。
マニュアルとロールプレイで応対品質を確保
通話を早く終わらせることだけを追求すると顧客満足度の低下を招きやすいですが、適切な聞き取りや要点を押さえた説明ができれば、効率的かつ満足度の高い応対が実現できます。
日々のモニタリングや研修で品質を保ちながら通話時間を無理なく抑える仕組みを作るとよいでしょう。
コールセンター通話料の最適化を達成した事例

クラウドPBXへの切り替えによる大幅コストダウン
ある中小企業のコールセンターが、従来のアナログ回線を多数契約していたところ、毎月の通話料が数十万円に上っていました。
クラウドPBXを導入してSIPトランクを活用したところ、初期投資を除いても月々の通話料が半分以下に削減された例があります。
音声品質も安定し、遠隔地のオペレーターとも内線で繋がるなど運用面でもメリットを実感しているそうです。
コール予測とIVRの最適化で呼損を減らした大手通販
大手通販企業のコールセンターでは、繁忙期の昼間帯にフリーダイヤルを提供しつつ、夜間は市外局番の通常番号に切り替える運用を導入しました。
コール予測ツールでピーク時を見極め、IVR(自動音声応答)のメニューを簡潔化して顧客が短時間で目的の部署へ繋がるように設計し、結果として通話料と待ち時間の両方を削減できたとのことです。
【まとめ】コールセンター通話料を最適化して顧客満足度も高めよう
コールセンターで発生する通話料は、インバウンド・アウトバウンド双方で多くの通話を扱う現場にとって、決して小さなコストではありません。
フリーダイヤルやナビダイヤル、市外局番、VoIPといった電話番号や回線の選択肢によって費用構造が変わるだけでなく、音声品質や顧客満足度(CS)にも大きく影響します。
企業が通信費を安く抑えようと極端にインフラを変更すれば、通話品質が悪化してクレームや離反が増える恐れがあるため、十分な検討が必要です。
一方で、VoIPやSIPトランクを導入して通信コストを下げながら音声品質を確保する事例や、フリーダイヤルを時間帯限定で活用する例など、実践的なコスト削減策も確立されています。
また、AHT短縮とFCR向上を目指す研修や、FAQ整備・ロールプレイを組み合わせれば、オペレーターの応対力が向上し、通話時間の最適化や再問い合わせ削減にもつながります。
要は、通話料をコールセンターの運営戦略の中で位置付け、通信インフラやオペレーター教育、システム連携を総合的に考慮することが大切です。
適切な手段を選んで導入すれば、コストを下げつつも顧客満足度を維持・向上し、
「コールセンターが企業の利益とブランド力を高める不可欠な存在」
として機能し続けられるでしょう。
