コールセンター

コールセンターにおけるユニーク数とは?ユニーク数で重複を排除した問い合わせ件数の重要性

Contents
  1. コールセンターにおけるユニーク数とは?ユニーク数で重複を排除した問い合わせ件数の重要性
  2. コールセンターのユニーク数の基本概念と重要性
  3. コールセンターユニーク数の業界別平均値
  4. コールセンターでユニーク数を改善した事例
  5. コールセンターでユニーク数を向上させる方法
  6. コールセンターで最新のシステムとユニーク数管理
  7. コールセンターでユニーク数を正確に測定するための注意点
  8. 【まとめ】コールセンターにおけるユニーク数とは?ユニーク数で重複を排除した問い合わせ件数の重要性

コールセンターにおけるユニーク数とは?ユニーク数で重複を排除した問い合わせ件数の重要性


コールセンター運営では「ユニーク数」という指標が注目されています。

ユニーク数とは、一定期間内で重複しない(ユニークな)問い合わせ件数、つまり実際に対応したユニークなお客様の数を表すものです​。

たとえば10人の顧客からそれぞれ1回ずつ電話があった場合と、1人の顧客が同じ問題で10回電話をかけ直した場合、総受電件数はどちらも10件ですが、ユニーク数で見ると前者は10件・後者は1件になります。

このようにユニーク数は、延べ問い合わせ件数では見えない“真の顧客対応数”を示す重要なKPIです。

ユニーク数を把握すれば、初回解決率(FCR)の低さによる再問い合わせの多発や、サポート品質の課題を可視化できます。

実際、コールセンター業界の平均FCRは約70%程度とされ、裏を返せば約30%の顧客は同じ問題で再度連絡をしていることになります。

ユニーク数を重視することは、こうした繰り返し問い合わせを減らし顧客満足度を高めるうえで欠かせないポイントと言えるでしょう。

コールセンターにおけるメール対応の役割とメール対応のメリットコールセンターにおけるメール対応の役割とメール対応のメリットコールセンターは電話やチャットだけでなく、メール対応も重要な顧客...

コールセンターのユニーク数の基本概念と重要性

ユニーク数とは何か?

ユニーク数とは簡単に言うと、ある集計期間内における重複しない問い合わせ件数のことです。

重複しない、つまり同一顧客からの複数回のコンタクトを1件にまとめて数える指標であり、Webサイト分析で使われる

「ユニークユーザー数(UU)」

と同じ発想です​。

電話やメール、チャットなどチャネルを問わず、同じ顧客からの問い合わせは一まとまりの行動とみなし1件とカウントします。

ユニーク数を算出するには、問い合わせ記録から顧客IDや電話番号などで重複を除外して集計します。

なぜコールセンターはユニーク数を追うのか?

ユニーク数を重視する理由は、単なる総コール数では見えない顧客対応の実態を把握できるからです。

前述のように、延べ件数だけではどれだけのユニークなお客様がサポートを必要としたかが不明瞭です。

ユニーク数を見れば、

「何人の顧客」

が問い合わせをしてきたのかが分かり、同時にリピート(再)コールの多さも浮き彫りになります。

リピートコールが多い=ユニーク数が総問い合わせ数に比べて少ない場合、それは初回解決率(First Call Resolution, FCR)の低下や対応品質の問題を示唆します。

逆にユニーク数が多く総コール数に近ければ、多くの問い合わせが一度で解決している可能性が高いと言えます。

ユニーク数の活用により、コールセンターは真に顧客視点のKPI管理が可能になります。

例えば、あるコールセンターで応答率(着信に応えた割合)が同じ90%でも、ユニーク数が低ければ一部顧客が何度も電話をかけ直している可能性があります。

一方、ユニーク数が高ければ多数の異なる顧客のニーズに応えられていることになります。

このようにユニーク数はFCRや顧客満足度と密接に関わっており、

「問い合わせ対応の質」

を測る重要な指標なのです。

近年では同一顧客から短時間に連続した着信があった場合に1件とみなす

「ユニーク応答率」

といった独自KPIを取り入れるコールセンターも増えてきています​。

ユニーク数を意識することで、オペレーション上の課題を早期に発見し、的確な改善策を講じることができるでしょう。

コールセンターユニーク数の業界別平均値


コールセンターのユニーク数は業種やサービス内容によって傾向が異なります。

主要業界ごとの傾向を見てみましょう。

BPO(業務委託)業界

BPOは様々な企業のカスタマーサポート業務を代行するため、取り扱う問い合わせの内容も多岐にわたります。

一般的に対応件数が多くなりがちで、一人のオペレーターが1日に対応するコール件数も多い傾向があります。

ある調査では、通信・インターネットサービス業界のコールセンターではオペレーター1人あたり1日平均38.7件の受電があるとされ​、BPOでも通信業務を扱う場合は問い合わせ数が多くユニーク数も高くなりやすいでしょう。

多種多様な顧客から問い合わせが来るため、ユニーク数自体は増えやすい反面、オペレーター側で知識を網羅し一度で解決する体制を整えないとリピートコールも増えかねません。

EC・小売業界

通販サイトや小売業のコールセンターは、商品の注文確認や配送状況問い合わせ、返品交換など比較的定型的な質問が中心です。

これらは一度の対応で完結しやすい内容が多いため、FCRが高くユニーク数も総問い合わせ数に近くなる傾向があります。

たとえば

「荷物の追跡番号を知りたい」

といった問い合わせはその場で回答できれば顧客は再度電話する必要がありません。

ECや小売ではセール時期など一時的に問い合わせ急増はあるものの、同じ顧客が何度も連絡するケースは少なく、結果としてユニーク数が高くなる(=重複が少ない)傾向があります。

金融・保険業界

銀行や保険会社のコールセンターでは、口座の手続き、ローン相談、保険金請求など複雑で時間のかかる問合せが多いのが特徴です。

これらは一度の電話で解決せず、書類の送付や社内審査を経て後日折り返し対応が必要になることもあります。

また、内容によっては顧客が何度も状況確認の連絡を入れるケースもあり、同一顧客からの複数回問い合わせ(リピート)が発生しやすい業界と言えます。

そのため金融・保険系ではユニーク数が総コール数に比べ低め、つまり重複問い合わせ率が高めになる傾向があります。

オペレーター一人ひとりが専門知識を持ち、その場で完結できる範囲を広げることでユニーク数の向上(リピート削減)を図ることが課題となります。

医療・ヘルスケア業界

病院やクリニックの問い合わせ窓口では、予約の受付や変更、検査結果の問い合わせなどが主ですが、緊急性の高い電話も混在します。

患者さんは不安から何度も問い合わせを重ねることもあり、同じ人から短期間に複数回電話がかかってくるケースが少なくありません。

また医療機関側も状況によっては折り返し対応をするため、一度で完結しない場合があります。

このように医療分野ではユニーク数が他業界に比べ低め(重複が多め)になる傾向です。

しかし近年はWeb予約システムやオンライン問診票の導入で、電話問い合わせ自体を削減しユニーク数を上げる取り組みも進んでいます。

業界別のユニーク数からからわかること

以上のように、ユニーク数が高くなりやすい業界としてはEC・小売など問い合わせ内容がシンプルで一回で解決しやすいケースが多い業界が挙げられます。

逆にユニーク数が低く(重複が多く)なりがちな業界は、金融・保険・医療のように問い合わせが複雑でお客様が何度も連絡せざるを得ない状況が発生しやすい業界です。

ただし、各コールセンターの運用次第でこの傾向は変わり得ます。

例えば通信販売(通販)業界でも商品のトラブル対応がまずく何度も掛け直しが発生すればユニーク数は下がりますし、逆に保険業界でも初回で手続きを完了できる仕組みを作ればユニーク数を高く維持できます。

業界平均はあくまで傾向として捉え、自社センターのユニーク数を他業界含めたベンチマークと比較しつつ、課題分析に役立てると良いでしょう。

コールセンターでユニーク数を改善した事例


ユニーク数改善の重要性を理解したところで、実際にユニーク数を改善した事例を見てみましょう。

ここでは、海外と国内のケースを一つずつ紹介します。

大手銀行DNB、AI活用によるFCR向上と問い合わせ削減

ノルウェーの大手銀行であるDNBでは、コンタクトセンターにAIソリューションを導入し、顧客対応を大きく改善しました。

同社はオムニチャネル対応を強化して顧客体験を向上させる一方、AIを活用した自己解決や的確なエージェント割当によってコール件数を30%削減することに成功しています。

また、問い合わせ内容に応じて適切なスキルを持つオペレーターに振り分ける仕組みを整えた結果、初回解決率(FCR)の向上も達成しました。

これらの施策により、従来は解決までに何度も電話を要していたケースを大幅に減らし、リピートコールの削減に直結させました。

その結果、ユニーク数ベースで見た実質的な対応顧客数が増え、顧客一人ひとりに対して迅速かつ的確なサービスを提供できる体制を築いています。

DNBの事例は、最新テクノロジーと運用改善によってユニーク数を押し上げ、顧客満足度と業務効率の両立を図った好例と言えるでしょう。

国内生命保険会社、チャットボット活用によるセルフサポート強化

国内のある生命保険会社では、問い合わせ対応のユニーク数改善策としてチャットボット(自動応答システム)の導入を行いました。

同社は従来、LINEを使ったチャットで顧客から保険商品の相談を受け付けていましたが、オペレーターが直接チャット対応をすると顧客が身構えてしまい、対話途中で離脱してしまうケースが課題となっていました。

そこでまずチャットボットに質問に答えさせる仕組みに変更したところ、顧客は気軽に自分に合う商品を探せるようになり、離脱率が大幅に改善しました。

チャットボットは性別・生年月日・希望保障内容など簡単な質問に沿って候補商品を提示し、最終的に必要に応じて有人オペレーターにエスカレーションします。

このハイブリッド対応により、商品検討段階での顧客満足度が向上し、見込み顧客との商談転換率(問い合わせから契約に至る率)の向上につながりました。

つまり、チャットボットで自己解決できる部分はお客様自身に完結いただき、本当に人の説明が必要な部分だけをオペレーターが担当する形にしたのです。

その結果、オペレーターが対応すべき問い合わせはより質の高いユニークな相談に集中し、一人ひとりの顧客に対して丁寧なサポートを提供できるようになりました。

問い合わせ全体に占めるユニークなお客様の割合も向上し、同時に対応効率と顧客体験の改善を実現しています。

改善事例からわかること

以上のケーススタディから分かるように、ユニーク数改善の鍵はFCR向上とセルフサポートの充実にあります。

DNBの例ではAIと適切な人員配置で一度のコンタクトで解決できる割合を増やし、生命保険会社の例ではチャットボットで顧客自身が自己解決できる環境を整えることでオペレーター対応の重複を減らしました。

それぞれアプローチは異なりますが、

「顧客の問題を早期に的確に解決し、再度の問い合わせを不要にする」

という点で共通しています。

ユニーク数を改善した企業は他にも多数あり、FAQサイトの充実や音声ボットの導入、オペレーター教育強化など様々な施策で成果を上げています。

自社の状況に合った施策を検討し、継続的にPDCAを回すことがユニーク数向上のポイントです。

コールセンターでユニーク数を向上させる方法


ユニーク数を向上(=重複問い合わせを減らす)させるためには、いくつかの効果的なアプローチがあります。

重要なのは顧客が同じ用件で繰り返し連絡しなくても済む環境を作ることです。

以下に主な施策をまとめます。

初回解決率(FCR)の向上

ユニーク数向上の最も直接的な方法は、一度の対応で問題を解決する割合を高めることです。

FCRを上げれば必然的にリピートコールが減り、ユニーク数比率が高まります。

一般的にコールセンターではFCR目標値を90%以上に設定することも多く、各社が改善に取り組んでいる指標です。

FCR向上のためにはオペレーターのスキル強化(商品知識や問題解決能力の研修)、専門部署への的確なエスカレーション体制、ナレッジベース(FAQ)の整備などが欠かせません。

問い合わせ履歴を活用して前回の対応内容を共有し、顧客に繰り返し説明させない工夫も重要です。

これにより顧客の負担を減らし、結果として一回のコンタクトで完結できる割合が高まります。

FAQサイト・チャットボットによるセルフサポート強化

自己解決できる仕組みを提供することもユニーク数向上に寄与します。

顧客が問い合わせをする前に、Web上のFAQページやAIチャットボットで疑問を解消できれば、そもそもコールセンターへの入電件数自体を減らせます。

実際、製品のオンラインマニュアルを充実させた企業では、コールセンターへの問い合わせ削減に成功し、代わりにWeb上のマニュアル閲覧数(ユニークユーザー数)が増加した例も報告されています。

チャットボットは24時間対応できる強みがあり、営業時間外の質問や簡易な問い合わせを処理してくれます。

これにより人手では対応しきれない部分をカバーし、顧客は必要最低限のタイミングでオペレーターと接触すれば済むようになります。

その結果、重複して電話をかけ直すケースを防ぎ、ユニーク数の割合を高めることができます。

ポイントは、セルフサービスでも解決できる問題と、人による対応が必要な問題を適切に切り分けることです。

FAQやチャットボットで対応しきれないケースだけがコールセンターに流れる形を作れば、オペレーターは毎回初めての顧客対応(ユニーク対応)に注力できるようになります。

スクリプトの見直しとオペレーター支援

オペレーターが顧客対応時に使用するトークスクリプト(応対台本)やナレッジは定期的に更新・改善する必要があります。

情報が古かったり不完全なスクリプトでは、顧客の疑問に的確に答えられず再問い合わせを招きかねません。

新製品や新サービスの情報が出たらすぐにスクリプトへ反映し、現場で常に最新かつ正確な案内ができるようにします。

また、優秀なオペレーターの対応内容を分析してマニュアル化し、全員で共有するといった取り組みも有効です。

実際、ある不動産会社では音声認識ソリューションを使って高評価オペレーターの通話を分析し、その結果をマニュアル化することで対応品質のバラつきを改善しました。

スクリプトを洗練させることで無駄のない案内が可能となり、

「聞かれなかったので再度連絡した」

という事態を防げます。

さらに、必要に応じて関連情報をオペレーターの画面上にポップアップ表示するCTIシステムを導入すれば、問い合わせ中に他部署のデータや過去の対応履歴を即座に参照でき、回答保留や折り返しを減らすことができます。

こうした仕組みによって一度の通話内で完結できる率を上げることが、結果的にユニーク数向上につながります。

以上の施策を組み合わせ、

「一回の問い合わせで完結させる」
「顧客自身で解決できる部分は促す」
「オペレーターの案内ミスや情報不足をなくす」

という3点を徹底することがユニーク数向上のポイントです。

加えて、定期的にリピート発生率をモニタリングし、どのような問い合わせで再連絡が発生しているかを分析することも重要です。

その分析結果をもとに、さらなるFAQ拡充やプロセス改善、オペレーター教育につなげていきましょう。

コールセンターで最新のシステムとユニーク数管理


近年、テクノロジーの進化に伴いユニーク数の管理・分析を支援するシステムも充実してきました。

CRMやCTI、さらにはAIを活用したツールの連携

CRMCTI、さらにはAIを活用したツールを連携させることで、ユニーク数を正確に把握し活用することができます。

CRM・CTIとの連携

コールセンターではCRM(顧客関係管理システム)CTI(電話とコンピュータ統合)を活用することで、電話がかかってきた時点で顧客情報を画面に表示し、過去の問い合わせ履歴を即座に参照できます。

この仕組みにより同じ顧客からの連絡であることを見逃さず、一貫した対応が可能になります。

また、メールやチャットなど他チャネルの履歴も統合すれば、

「電話では初めてだが以前メール対応した顧客」

といったケースでもオペレーターが把握でき、重複質問にも統一的に回答できます。

昨今はメールアドレスや電話番号といったユニークな顧客IDを軸にあらゆる業務システムのデータを統合し、チャネルを問わず同じ体験を提供しようという動きが広がっています。

このようなデータ連携によって、ユニーク数をより厳密に測定できるだけでなく、顧客からすれば

「前にも伝えた情報をまた聞かれる」

という不満も解消されるため、結果的にリピートコール防止にもつながります。

AIによるユニーク数分析・予測

人工知能(AI)を活用すれば、過去の問い合わせデータを高度に分析してリピート発生の要因やパターンを抽出できます。

例えば通話録音をテキスト化して内容を解析し、どのようなフレーズが含まれる対応は再度の問い合わせにつながりやすいか、といった洞察を得ることが可能です。

また、AI搭載のレポーティングツールでは日々のユニークコール数とリピート率を自動計算してダッシュボード表示し、傾向変化をリアルタイムで把握できます。

「本日のユニーク来電は何件で、そのうちX%が複数回連絡を行っている」

といった指標を常に監視できるのです。

ある分析ソフトウェアでは、ユニークな発信者数(caller)とその中で複数回連絡してきた比率を可視化し、繰り返し電話をかけている顧客リストを抽出する機能も提供されています。

これにより、オペレーション管理者は具体的に誰が何故何度も電話しているのかを掘り下げ、個別フォローや根本原因の対処が可能になります。

さらにAIは問い合わせ量の予測にも活用でき、過去のユニーク数推移やイベント情報から次期のコール数を予測しシフト計画に反映するといった使い方もされています​。

将来的にはAIが顧客の感情や満足度をリアルタイムに判断し、リピートにつながりそうな対応にはアラートを出す、といった支援も考えられます。

データの可視化と活用方法

ユニーク数を効果的に管理するには、経営層から現場スタッフまで誰もが状況を把握できる可視化が重要です。

BIツールや専用のダッシュボードを用いて、期間別のユニーク数推移や業種別・サービス別のユニーク率(ユニーク数/総問い合わせ数)などをグラフ表示すれば、一目で現状把握と問題点の発見ができます。

例えば、或るオンライン証券会社ではコンタクトセンターシステムを導入して稼働状況を可視化した結果、問い合わせ急増時のボトルネックを迅速に特定して改善に繋げることができました。

このようにデータが見える化されると、

「いつ・どの分野でリピートが多発しているか」

など具体的な課題が浮かび上がります。

また、ダッシュボード上でKPI同士の相関を分析し、ユニーク数とFCR平均処理時間(AHT)との関係を探ることで、より深い洞察が得られます。

可視化したデータは定期的なチームミーティングで共有し、目標との差異を検討したり、優秀事例を横展開する材料にしましょう。

最近ではリアルタイムのWallboard(壁貼りモニター)でユニーク数や応答率を常時表示し、現場の意識を高める運用も見られます。

システムとデータ分析をフル活用してユニーク数管理を高度化することで、コールセンター運営の質を一段と高めることが可能です。

コールセンターでユニーク数を正確に測定するための注意点


ユニーク数を扱う際には、データ管理上の注意点やセキュリティ面の配慮も忘れてはなりません。

正確に測定し有効活用するために、以下のポイントに注意しましょう。

重複判定の基準を明確にする

「ユニーク」を何で判断するかは各センターで統一しておく必要があります。

一般的には電話問い合わせの場合「電話番号」でユニーク判定することが多いですが、顧客IDや氏名など複数の識別子を組み合わせる場合もあります。

それぞれメリット・デメリットがあり、電話番号だと家族や社用電話など複数人で同一番号を使用するケースで実際よりユニーク数が小さく算出される可能性があります。

逆にメールアドレスだと変更や複数所持があるために同一人物を別人とカウントしてしまうリスクがあります。

どの識別子で重複除外するか、期間は日単位か月単位かなど、ユニーク数の定義を明確化しておくことが重要です。

一度定義したら基本的には統一したルールで継続測定し、経年比較や他KPIとの連動分析に活かせるようにします。

異なるチャネル間での識別

オムニチャネルが進む現在、電話・メール・チャットなど問い合わせ経路が多様化しています。

同じ顧客が複数チャネルから連絡してくる場合、チャネルごとに別カウントしていては正確なユニーク数を把握できません。

これを避けるには、やはりCRMで顧客情報を統合しチケット(問い合わせ番号)を一元管理する仕組みが必要です。

例えば、まずメールで問い合わせた顧客が解決せずに電話をかけてきた場合、メール対応分と電話対応分を結びつけて1人の顧客による一連の問い合わせと見る、といった運用です。

そのためには、問い合わせ受付時に顧客確認を確実に行い、既存データとマッチングさせることが求められます。

チャネル横断でユニーク数を測定するのは難易度が上がりますが、逆に言えばそれが実現できれば顧客視点での真のユニーク数が得られ、より的確な改善策立案につながります。

データのクレンジングと更新

ユニーク数算出の元となる顧客データベースが正しく管理されていないと、正確な数値は得られません。

住所や姓名の表記揺れで同一人物が二重登録されていたり、過去のデータに誤りがあると、ユニーク集計時に重複を除去しきれなくなります。

定期的に顧客マスタのクレンジング(重複統合や不要データ削除)を行い、名寄せ精度を維持しましょう。

また、ユニーク数レポートを作成する際には、特定期間内のみの一時的なID(例: 一度きりの問い合わせで登録された仮IDなど)も含まれることがあります。

そうしたケースも踏まえ、どこまでを同一顧客と見なすかを運用ルールとして明示し、分析時には注意を払います。

セキュリティと個人情報保護

ユニーク数の計測・管理には顧客の個人情報(氏名、電話番号、メール等)を扱います。

ゆえに情報セキュリティ対策とプライバシー保護は最重要です。

日本では

「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」

がありますが、その遵守はもちろん、社内ポリシーとしても顧客データの取り扱いルールを定めましょう。

具体的には、ユニーク数分析用のデータは必要最小限の項目(識別IDや日時など)に限定し、分析担当者以外アクセスできないように権限管理します。

データを抽出する際は氏名等を匿名化・ハッシュ化するなどして、生データの漏洩リスクを下げる工夫も有効です。

また、分析結果の共有にも注意が必要です。

会議資料などで

「〇〇様は今月5回お問い合わせ」

と個人が特定できる情報を記載するのは避け、集計結果はあくまで統計情報として扱います。

万一に備えて、ログの暗号化やアクセス記録の監査など技術的防御策も講じましょう。

こうしたセキュリティ面の配慮なくしては、顧客からの信頼を損ないかねません。

安全にデータを扱いながら的確にユニーク数を測定することが、長期的なコールセンター運営の信頼性につながります。

【まとめ】コールセンターにおけるユニーク数とは?ユニーク数で重複を排除した問い合わせ件数の重要性


ユニーク数は、コールセンター

「どれだけ多くのユニークなお客様対応をこなしたか」
「どれだけ一度の対応で問題解決できているか」

を示す重要な指標です。

総問い合わせ件数だけを追う運営から一歩進み、ユニーク数をKPIに据えて改善活動を行うことで、顧客視点でのサービス品質向上と業務効率化の両立が可能になります。

ユニーク数を高めるための施策として、初回解決率の向上、セルフサポート環境の整備、スクリプト改善やAI活用など、見てきたように様々なアプローチがあります。

共通するのは

「顧客の手間を減らし、迅速かつ的確にニーズに応える」

という姿勢であり、ユニーク数の改善こそがカスタマーエクスペリエンス(CX)向上に直結すると言えるでしょう。

今後の展望としてコールセンター業界におけるユニーク数の重要性は、今後さらに増していくと考えられます。

その背景には、AI・データ分析技術の進化と、企業全体でのCX重視の流れがあります。

AIの発展により、将来的には顧客が問い合わせをする前に問題を予測・検知して解決策を提示するプロアクティブサポートが現実味を帯びてきます。

例えばIoTデバイスやアプリの情報から不具合を察知し、顧客からの連絡を待たずに対処法を通知するといった仕組みが一般化すれば、そもそもコールセンターへの問い合わせ自体が減少するでしょう。

その場合、

「ユニーク数を減らすこと」

が顧客満足度向上につながるという新たな局面を迎えるかもしれません。

言い換えれば、理想的にはお客様一人ひとりが一度もサポートを必要とせずスムーズにサービスを利用できる状態を目指すことになります。

もっとも、ゼロコンタクトは現実的ではないため、人が介在するサポートは今後も不可欠です。

その中でユニーク数は引き続き、コールセンターのパフォーマンスを測る基本指標として機能し続けるでしょう。

ただし将来は、ユニーク数と他の指標を組み合わせた高度なKPIが登場する可能性もあります。

たとえば

「顧客一人当たりの生涯ユニークコンタクト数」
「チャネル横断ユニーク解決率」

といった、新しい観点での顧客接点評価です。

AIによる音声認識・感情解析が発達すれば、ユニーク数と顧客感情データを掛け合わせてエフォートレス(顧客の手間の少なさ)を測定する、といったことも実現するでしょう。

いずれにせよ、コールセンターにおける基本は

「困っているお客様をいち早く助ける」

ことに尽きます。

そのための手段としてユニーク数は非常に有用であり、今後もAIやデータ分析の力を借りながら精度と活用範囲が広がっていくでしょう。

ユニーク数の管理を通じて顧客視点の運営を徹底し、時代の変化に合わせて進化していくことが、これからのコールセンターには求められています。

ユニーク数を入口として現状を正しく把握し、継続的なサービス品質向上に繋げていきましょう。

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