プレスリリースを毎月配信するとどうなるのか？プレスリリースを毎月配信した実体験からまとめてみた

プレスリリースと聞くと、新商品や大型イベントの発表など、特別なタイミングで出すものだと考える人が多いでしょう。

しかし、毎月プレスリリースを配信することは、広報活動の新しいスタンダードとなりつつあります。

この戦略には、ただ配信回数を増やすだけではない、明確な意図とメリットが存在します。

その核心は、メディアとの継続的な関係構築と、小さな情報を大きな価値に変えることにあります。

プレスリリースを毎月配信する6つのメリット

プレスリリースを毎月配信するとどうなるのか？プレスリリースを毎月配信した実体験からまとめてみた

毎月プレスリリースを配信することで、単発の配信では得られない、複合的なメリットが生まれます。

メリット1：メディアリレーションの構築と露出の増加

メディア関係者は日々、膨大な量のプレスリリースを受け取っています。

その中で自社の情報に注目してもらうには、継続的なアプローチが不可欠です。

毎月プレスリリースを配信することで、メディア関係者の目に留まる機会が増え、以下のような効果が期待できます。

メディアとの接点増加

毎月情報を提供することで、自社が

「常に新しい話題を持つ企業」

として認識され、メディアとの関係性が強化されます。

取材依頼の増加

メディアは常に新しいネタを探しています。

定期的に発信することで、自社の専門性やユニークな取り組みが伝わり、継続的な取材依頼に繋がることがあります。

露出の安定化

毎月何かしらの情報がメディアに取り上げられる可能性が高まり、認知度の波を減らすことができます。

メリット2：SEO効果とWeb上での存在感向上

プレスリリース配信サービスを利用すると、リリース内容がサービスサイトや提携メディアのウェブサイトにも掲載されます。

これにより、以下のSEO効果が期待できます。

効果	内容
検索からの流入増加	毎月新しい情報がWeb上に増えることで、検索エンジンのクローラーに評価されやすくなります。特定のキーワードで検索したユーザーが、自社のプレスリリースにたどり着く可能性が高まります。
ブランド力の向上	メディアに取り上げられた記事や、プレスリリース自体のWeb掲載は、第三者からの客観的な情報として信頼性が高まります。これにより、企業のブランドイメージ向上に繋がります。

メリット3：プレスリリースが新規ビジネスを生み出す「インバウンド広報」の力

プレスリリースは、単なる情報発信ツールではありません。

それは、潜在顧客や新たなビジネスパートナーを引き寄せる強力な「インバウンドマーケティング」の手段となります。

なぜプレスリリースがインバウンドにつながるのか？
通常、営業は電話やメールで企業にアプローチ（アウトバウンド）しますが、プレスリリースは読者が自発的に興味を持ち、企業に連絡してくる「インバウンド」の仕組みを構築します。

【事例】たった1通のプレスリリースが大型契約に繋がったケース

とあるBtoB SaaS（クラウドサービス）を開発するスタートアップ企業は、従業員向けの福利厚生サービスを開発しました。

初期の顧客獲得に苦戦していた彼らは、毎月最低1回のプレスリリース配信を始めました。

ある日、

「サービスに新機能を追加した」

というプレスリリースを配信したところ、大手企業の総務担当者がそれを目にしました。

担当者は

「自社の課題を解決できるサービスだ」

と直感し、そのプレスリリースに記載された問い合わせ窓口から連絡しました。

結果、通常ではアポイントすら難しいような大手企業との商談が実現し、数千人規模の従業員を抱える企業の大型契約を獲得しました。

このように、プレスリリースは単に認知度を上げるだけでなく、潜在的な顧客や取引先が「課題解決」のために検索した際に、自社の情報を見つけてもらうための重要な導線となるのです。

メリット4：多様な情報発信とステークホルダーへの信頼向上

毎月配信を目標にすると、「新商品」や「大型イベント」といった大きなニュースだけでなく、社内の小さな出来事にも目を向けるようになります。

効果	内容
情報発信の多様化	社内での取り組み、顧客の声、サービスの改善、業界の動向に関する見解など、これまで埋もれていた情報がプレスリリース化されます。これにより、企業の多面的な魅力を伝えることができます。
ステークホルダーへの信頼向上	投資家、取引先、顧客、そして社員自身が、会社の動きを正確に把握できるようになります。透明性の高い情報開示は、あらゆるステークホルダーからの信頼向上に繋がります。

メリット5：社内の広報意識の向上

毎月プレスリリースを配信するという目標は、社内全体に「常にニュースになるネタを探す」という意識を浸透させます。

効果	内容
広報のネタ探しが習慣化	広報担当者だけでなく、各部署の社員が「これはリリースに使えるかも？」という視点を持つようになります。
部門間の連携強化	新しい取り組みや面白い事例を見つけるために、部署間のコミュニケーションが活発になります。

メリット6：採用活動への貢献

定期的な情報発信は、潜在的な求職者にもリーチします。

効果	内容
企業の魅力発信	毎月、企業文化や事業の成長性、社員の活躍などを伝えることで、求職者はその会社で働くイメージを具体的に持つことができます。
エンプロイー・ジャーニーの向上	会社の理念や取り組みが社員にも伝わることで、帰属意識やエンゲージメントが高まります。

毎月プレスリリースを配信することのデメリットと注意点

プレスリリースを毎月配信するとどうなるのか？プレスリリースを毎月配信した実体験からまとめてみた

良いことばかりのように見えますが、毎月プレスリリースを配信するには、いくつかの課題と注意点があります。

デメリット1：ネタ切れと質の低下

毎月新しいネタを探し続けることは、非常に高いハードルです。

無理に捻り出したネタでは、ニュース価値が低く、メディアに埋もれてしまう可能性があります。

ポイント	内容
対策	常にアンテナを張り、小さな出来事でもニュース性を見出す視点を養うことが重要です。後述する「プレスリリースのネタ探し10選」を参考にしてください。

デメリット2：時間とコストの増加

プレスリリース作成や配信には、それなりの時間と労力がかかります。

対策	内容
広報の専任体制	可能であれば、広報の専任担当者を置くか、社内の複数のメンバーが協力する体制を構築しましょう。
プレスリリース配信サービスの活用	定額制プランを利用することで、配信あたりのコストを抑え、効率的に配信できます。

デメリット3：メディアへの「ノイズ」になる可能性

ニュース価値の低いプレスリリースを送り続けると、「この会社はいつも大した情報を送ってこない」と判断され、メディアリレーションが悪化する可能性があります。

対策	内容
配信の質を重視	配信の頻度よりも「質」を重視することが大前提です。毎月必ず配信する、というルールに縛られすぎず、ニュース性のある情報がない場合は無理に配信しない選択も重要です。

毎月プレスリリースを配信するためのネタ探し10選

プレスリリースを毎月配信するとどうなるのか？プレスリリースを毎月配信した実体験からまとめてみた

毎月配信を成功させるには、ネタ探しの視点を広げることが鍵です。

新商品・新サービス: 新しい商品やサービスの発表。
アップデート・機能改善: 既存サービスの機能追加やリニューアル。
調査・研究: 業界動向や顧客アンケートの結果など、オリジナルの調査レポート
導入事例: サービスの導入企業や顧客の成功事例。
業務提携・協業: 他社との業務提携や資本提携。
受賞・認定: 公的な賞の受賞や、新技術の特許取得など。
社内取り組み: 新しい働き方の導入、SDGsへの貢献、社員のユニークな活動など。
キャンペーン・イベント: 期間限定のキャンペーンや、オンラインイベントの開催。
周年記念: 創業〇周年記念や、サービスリリース〇周年記念。
メディア掲載実績: 過去のメディア掲載実績をまとめたインフォグラフィックなど。

これらのネタを組み合わせて、毎月ユニークな情報を発信することが可能です。

毎月プレスリリースを配信を習慣化する「3つのステップ」

プレスリリースを毎月配信するとどうなるのか？プレスリリースを毎月配信した実体験からまとめてみた

毎月配信を成功させるには、計画的な準備と実行が不可欠です。

ステップ1：年間・月間の「広報カレンダー」を作成する

年間を通してのイベントやニュースを可視化することで、ネタ切れを防ぎます。

ポイント	内容
年間カレンダー	新商品発売、周年記念、季節イベント、業界の大きな展示会などを書き出す。
月間カレンダー	年間カレンダーを基に、各月のテーマ（例：3月は新卒採用、4月は新入社員の話題）を決め、具体的なリリース候補をリストアップする。

ステップ2：社内広報ネットワークを構築する

広報担当者だけでネタを探すには限界があります。

社内全体を巻き込む仕組みを作りましょう。

施策	内容
定期的なミーティング	各部署の代表者と定例ミーティングを開き、進行中のプロジェクトや興味深い出来事をヒアリングする。
社内向け広報コンテスト	「プレスリリースネタ募集」といった形で、全社員からアイデアを募るイベントを実施する。

ステップ3：PDCAサイクルを回す

配信して終わりではなく、効果を検証し、次回の改善に活かすことが重要です。

施策	内容
効果測定	配信後のメディア掲載数、Webサイトへのアクセス数、SNSでの反応などをチェックする。
フィードバックの収集	メディア関係者や社内からのフィードバックを積極的に収集し、今後のリリースの質を高める。