コールセンターの入札とは?RFPの書き方と進め方を解説

コールセンターの入札とは?RFPの書き方と進め方を解説
「コールセンターの入札って、何をするの?」
「RFPという言葉を聞くけれど、よくわからない…」
「価格が安いところに決めてよいの?」
コールセンター業務を外部に委託しようとするとき、複数の会社から提案を集めて選ぶ入札という手続きを踏むことがあります。
初めて担当することになった方にとっては、何から手をつければよいのか見当がつかないというのが正直なところではないでしょうか。
まず押さえておきたいのは、入札の成否は当日ではなく、その前に要件をどこまで固められたかでほぼ決まるという点です。
この記事では、事業会社でコールセンターの立ち上げに携わり、委託先の選定に関わってきた経験から、入札の流れと注意点を解説します。
コールセンターの入札とは
まずは、入札という手続きがどういうものなのかを整理しておきましょう。
入札は複数社を比べて委託先を決める手続き
コールセンターの入札とは、複数の会社に提案を求め、その内容を比べて委託先を決める手続きのことです。
なぜなら一社だけと話を進めると、価格が妥当かどうかを判断する材料がなくなるからです。
複数の提案を並べると相場感がつかめるうえ、自社では思いつかなかった運用の工夫に出会えることもあります。
とくに官公庁や自治体の調達では、公平性を確保するため入札という形が原則とされています。
民間企業では自由度が高く、数社に声をかけて提案を比べる簡易な形も珍しくありません。
入札は複数社の提案を並べて比べることで、価格の妥当性と運用の質を同時に見極める手続きだといえます。
アウトソーシングとの違い
入札とアウトソーシングは、似た文脈で語られますが、指しているものが実は違います。
アウトソーシングは業務を外部に任せる取り組みそのものを指す言葉です。
一方の入札は、その委託先を決めるための手続きの部分にあたります。
つまり、アウトソーシングを進めるうえでの一工程が入札である、という関係になります。
委託そのものをどう考えるか、どんな業務を任せられるのかについては、アウトソーシングを扱った記事のほうが詳しく整理しています。
本記事では、委託先を決めるまでの手続きと、そこでつまずきやすい点に絞ってお伝えしていきます。
アウトソーシングは委託という取り組み全体を指し、入札はその委託先を決める工程を指すという関係です。
入札で使う書類の種類
続いて、入札の場面で登場する書類について確認しておきましょう。
RFIとRFPの違い
入札ではRFIとRFPという言葉が出てきますが、この二つは目的も出すタイミングも違います。
RFIは情報提供依頼書と訳され、要件を固める前に各社の対応範囲を広く調べるために使います。
一方のRFPは提案依頼書と訳され、要件が固まった段階で具体的な提案と見積もりを求める書類です。
| 書類 | 日本語 | 出す目的 |
|---|---|---|
| RFI | 情報提供依頼書 | 要件を固める前に各社の対応範囲を知る |
| RFP | 提案依頼書 | 要件を示して具体的な提案と見積もりを求める |
| 提案書 | ー | 受注を目指す側がRFPに対して提出する |
小さな案件ではRFIを省くこともありますが、知見が少ないなら先に情報を集めるほうが安全です。
RFIで情報を集めてからRFPで提案を求めるという順番を知っておくと、進め方に迷わなくなるはずです。
RFPに書くべき項目
RFPに決まった書式はありませんが、外せない項目はある程度決まっています。
委託する業務の概要と目的、対応の範囲、サービスの水準、予算、契約条件、そして評価の基準と進め方です。
あわせて提案書の形式や提出期限も明記しないと、比較しにくい提案が集まってしまいます。
さらに要件に優先度をつけ、譲れない条件をはっきり示すと、提案の質は目に見えて変わります。
反対にすべてを必須条件にすると、応じられる会社が限られ、選択肢を狭めてしまいます。
要件に優先度をつけ、譲れない条件を明記することがRFPで良い提案を集める鍵になります。
コールセンター入札の進み方
続いて、実際の入札がどのような順番で進んでいくのかを見ていきます。
要件を固めてRFPを出すまで
入札でまず取り組むべきは、委託したい業務を自分たちの言葉で説明できる状態にすることです。
なぜなら何を任せたいかが曖昧だと、各社の提案がばらばらの前提で作られ、比べられなくなるからです。
現在の入電状況やどの時間帯に集中するのか、どんな問い合わせが多いのかを洗い出しましょう。
この整理には想像以上に時間がかかるため、日程を組む際は十分な期間を確保しておきましょう。
要件が固まったらRFPにまとめて配布し、質問を受け付ける期間を設けるという流れになります。
入札で最も時間をかけるべきなのは、委託する業務を自分たちの言葉で整理する工程だといえます。
提案の評価から契約まで
提案書が集まったら、あらかじめ決めておいた基準に沿って評価を行い、委託先を決めていきます。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 要件の整理 | 委託する業務と求める水準を洗い出す |
| 書類の配布 | RFPを配り、質問を受け付ける |
| 一次審査 | 提出された提案書の内容を確認する |
| 二次審査 | 候補となった会社の説明を直接聞く |
| 契約の締結 | 業務範囲や水準、料金を書面で取り決める |
評価の基準は提案を受け取ってから作るのではなく、RFPを出す前に決めておくことが大切です。
公共の調達では、この評価基準の作成が必須とされています。
契約書には業務の範囲や求める水準、料金、そして守秘義務について明記し、後から解釈が分かれないようにしておきましょう。
評価の基準は提案を見る前に決めておくことが、公平な選定を保つための前提になります。
コールセンターならではの要件
続いて、コールセンターの入札で特に決めておきたい要件を見ていきます。
数値で示す業務の規模
コールセンターの委託では、業務の規模を数値で示せるかが提案の精度を左右します。
なぜなら受ける側は、入電件数や必要な人数から体制を組み立てて見積もりを作るからです。
月ごとの入電件数や時間帯の偏り、一件あたりの対応時間を、把握できる範囲で示しましょう。
繁忙期がある業務なら、平常時との差も伝えないと、運用開始後に体制が足りなくなります。
正確な数字が出せなくても、おおよその範囲を添えて示せば、現実的な提案が集まります。
入電件数や対応時間といった規模を数値で示すことが、精度の高い提案を引き出す条件です。
品質をどう測るか決めておく
もうひとつ欠かせないのが、委託後の品質を何で測るかを先に決めておくことです。
なぜなら良い応対をという言葉だけでは、何をもって達成とするかが双方で食い違うからです。
電話にどれだけ応じられたか、一度で解決できたか、顧客の評価はどうかという観点で選びましょう。
達成できなかった場合の扱いまで契約に含めておくと、運用開始後の話し合いが進めやすくなります。
ただし項目を増やしすぎると報告作業が膨らむため、絞り込むことも同じくらい大切です。
品質を測る項目を先に決めておくことが、委託後の認識のずれを防ぐ最大の備えになります。
入札でつまずきやすいところ
続いて、実際によく起こる失敗と、その避け方を確認しておきましょう。
価格だけで決めてしまう
もっとも多い失敗が、提示された金額の安さだけを見て委託先を決めてしまうというものです。
なぜなら、極端に安い見積もりは、体制を薄くするか、経験の浅い人員を充てることで成り立っている場合があるからです。
その結果、電話がつながらない、説明が要領を得ないといった状態が続き、顧客からの信頼を損なう事態にもなりかねません。
応対の質は自社のブランドそのものに直結するため、価格と品質のどちらも見たうえで判断する必要があります。
近年は価格と提案内容の両方を点数化して選ぶ方式も広く使われているので、自社の調達方針に合わせて検討してみましょう。
価格の安さだけで決めず、提案の中身とあわせて総合的に判断することが失敗を避ける道です。
要件が固まらないまま出してしまう
もうひとつ多いのが、社内の合意が取れないまま、とりあえずRFPを出してしまうという進め方です。
なぜなら、後から関係部署の要望が次々と追加されると、提案の前提が崩れ、比較そのものが成り立たなくなるからです。
現場と管理部門で求めるものが違うことは珍しくないため、RFPを出す前に社内で意見を突き合わせておきましょう。
どうしても決めきれない部分が残る場合は、その旨をRFPに明記し、提案側に前提を置いてもらう形にすると混乱を避けられます。
急いで出した一週間の遅れより、要件が曖昧なまま進めた数か月の手戻りのほうが、はるかに大きな損失になります。
社内の合意を取ってからRFPを出すことが、後の手戻りを防ぐいちばん確実な方法だといえます。
提案する側から見た入札
最後に、受注を目指す側から見た場合の考え方にも触れておきます。
質問期間を使い切る
提案する立場になったときにまず意識したいのが、質問を受け付けている期間を最大限に活用するということです。
なぜなら、RFPに書かれていない前提や、発注側が本当に困っていることは、質問を通してしか見えてこないからです。
現在の運用で何に困っているのか、どの部分を優先したいのかを確認できれば、提案の焦点がはっきりと定まります。
質問の内容そのものが、この会社は業務を理解しているという印象につながることも、実際には少なくありません。
締め切り直前にまとめて出すのではなく、読み込んだ段階で早めに投げておくと、回答を反映する時間も確保できます。
質問期間を使って前提を確認することが、的を射た提案をまとめるための近道になります。
入札の提案書に実現できないことは書かない
提案書を作るときに何より大切なのが、自社で実現できないことを書かないという当たり前の姿勢です。
なぜなら、受注のために背伸びをした内容は、運用が始まってから必ず表面化し、信頼を失う結果につながるからです。
対応できない部分については正直に伝えたうえで、代わりにどう補うのかを示すほうが、かえって評価されることもあります。
発注側は完璧な提案よりも、長く一緒に運用していける相手かどうかを見ているというのが、選ぶ側に立ってみた実感です。
できることとできないことを明確に線引きした提案のほうが、結果として選ばれやすいと感じています。
できないことを正直に伝えたうえで代替案を示す姿勢が、長く続く関係につながるのです。
コールセンターの入札に関するよくある質問
コールセンターの入札とは何ですか?
業務を委託したい側が複数社から提案を集めて比べ、委託先を決める手続きのことで、価格の妥当性と運用の質を同時に見極める目的があります。
RFIとRFPは何が違いますか?
RFIは要件を固める前に各社の対応範囲を知るための書類です。
RFPは要件を示し、具体的な提案と見積もりを求める書類になります。
入札とアウトソーシングはどう違いますか?
アウトソーシングは業務を外部に任せる取り組み全体を指し、入札はそのなかで委託先を決める手続きの部分にあたります。
RFPには何を書けばよいですか?
業務の概要と目的、求める水準、予算、契約条件、評価基準などに加え、提案書の形式や提出期限も明記しておきましょう。
評価の基準はいつ決めますか?
提案を受け取る前、RFPを出す段階で決めておく必要があり、公共の調達では評価基準の作成が必須とされています。
いちばん安い会社に決めてよいですか?
価格だけで決めるのは避けたほうがよく、極端に安い提案は、体制の薄さが背景にある場合もあります。
入札の準備にはどれくらいかかりますか?
要件の整理に時間がかかるため余裕を持った計画が必要で、社内の合意形成にかかる時間も見込んでおきましょう。
まとめ:入札の成否は要件を固める工程で決まる
コールセンターの入札は、複数の会社から提案を集めて比べることで、価格の妥当性と運用の質を同時に見極めるための手続きです。
RFIで情報を集めてからRFPで提案を求める、という順番を押さえておきましょう。
そして評価の基準を提案を見る前に決めておくことが、公平な選定の前提になります。
そして何より大切なのは、委託したい業務を自分たちの言葉で整理し、社内の合意を取ってから外に出すことだと感じています。
要件を固める工程に時間をかけるほど、集まる提案の質は上がり、運用が始まってからの手戻りも確実に減っていきます。
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