- コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイド
- ITILの基本とコールセンターとの共通ゴール
- コールセンターITILの核となる概念:サービスライフサイクルと構成要素
- コールセンターITIL主要プロセスの詳細な運用フロー
- コールセンターがITIL導入で得られる具体的なメリットとKPI
- ITILに準拠したコールセンターシステム・ツール
- コールセンターITIL導入のステップと成功のポイント
- コールセンターITILと最新技術(AI・自動化)の連携
- コールセンターでITIL導入成功事例(業種別)
- コールセンターとITIL「よくある質問(FAQ)」
- 【まとめ】コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイド
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイド
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイド「お客様からの問い合わせが多すぎて、対応が追いつかない」
「対応品質にばらつきがある」
「特定の問い合わせが繰り返し発生するが、根本的な解決ができていない」
こうした課題は、多くのコールセンターやITサービスデスクが抱える共通の悩みです。
実は、これらの課題を解決し、サービス品質を飛躍的に向上させるための強力なフレームワークが、ITサービスマネジメントのベストプラクティス集「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」です。
この記事では、ITILとは何かという基本から、なぜコールセンターにITILが求められているのか、そして具体的な導入方法まで、IT部門と連携してサービス品質を向上させたい企業担当者向けに徹底解説します。
この記事を読めば、御社のコールセンターが
「問い合わせ窓口」から「企業の価値創造拠点」
へと進化する道筋が見えるはずです。
ITILの基本とコールセンターとの共通ゴール
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILは、ITサービスを効率的かつ高品質に提供・管理するためのノウハウを体系化したものです。
一見すると、コールセンターとは無関係に思えるかもしれませんが、両者には
「サービス品質を向上させ、顧客満足度を最大化する」
という共通のゴールがあります。
ITILの歴史とバージョン
ITILは、英国政府がITサービス管理のベストプラクティスをまとめたことに端を発します。
バージョンアップを重ね、2019年に発表された最新版「ITIL 4」では、単なるプロセスの改善だけでなく、アジャイルやDevOpsといった現代のITトレンドを取り入れた、より柔軟なアプローチが重視されています。
ITILと関連用語の整理
ITILの理解を深めるために、混同されやすい関連用語との違いを整理しておきましょう。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| ITSM(IT Service Management) | ITILが「何をするべきか」という実践的なノウハウであるのに対し、ITSMは「ITサービスを管理する」という概念そのものを指します。 ITILは、ITSMを実践するための代表的なツールの一つです。 |
| ISO 20000 | ITILが推奨する「ベストプラクティス」であるのに対し、ISO 20000はITサービスマネジメントの国際標準規格です。 ISO 20000の認証取得を目指す際、ITILの考え方を参考にすることが一般的です。 |
コールセンターITILの核となる概念:サービスライフサイクルと構成要素
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILは、ITサービスを一本の線で捉える
「サービスライフサイクル」
という概念に基づいています。
これは、サービス提供の始まりから終わりまでを体系的に管理するための枠組みです。
この概念を理解することが、ITILを表面的なノウハウではなく、本質的なツールとして活用する第一歩となります。
サービスライフサイクルを構成する5つのフェーズ
1. サービス戦略(Service Strategy)
どんなサービスを、誰に提供するかという目的や方針を決定します。
コールセンターでは、どのような顧客層に、どのような対応品質を提供するかを策定する段階です。
2. サービス設計(Service Design)
サービス戦略に基づき、具体的なプロセスやシステムを設計します。
問い合わせフロー、ナレッジベースの構築、使用するシステムの選定などがこれに該当します。
3. サービス移行(Service Transition)
設計したサービスを実際に運用環境に移行するフェーズです。
新しい対応フローやシステムの導入、オペレーターへの教育などが含まれます。
4. サービス運用(Service Operation)
日常のサービス運用です。
インシデント管理やサービスリクエスト管理など、実際の顧客対応業務がここに含まれます。
5. 継続的サービス改善(Continual Service Improvement)
サービスやプロセスを、常にデータに基づいて改善していくフェーズです。
KPIを定期的に分析し、より効率的で高品質なサービスを目指します。
これらのフェーズを循環させることで、組織は変化に柔軟に対応し、より良いサービスを提供し続けることができます。
コールセンターITIL主要プロセスの詳細な運用フロー
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILの概念を理解したら、次は具体的な業務フローに落とし込むことが重要です。
ここでは、特に重要なプロセスの詳細な運用フローを解説します。
1. インシデント管理(Incident Management)の運用フロー
インシデント管理は、コールセンターにおける顧客対応の核となるプロセスです。
迅速かつ的確な対応を実現するためのステップを確認しましょう。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| インシデントの記録 | 顧客からの問い合わせを、発生日時、連絡先、問題内容、緊急度などの情報とともに、チケットとして正確に記録します。 |
| インシデントの分類と優先度設定 | 記録されたインシデントを、あらかじめ定めたルールに基づいて分類し、緊急度や影響度に応じて優先度を設定します。 |
| 初期診断と解決 | オペレーターがナレッジベースなどを活用し、一次対応で解決を試みます。 |
| エスカレーション | 一次対応で解決できない場合、二次対応チーム(エンジニア、専門部署など)にインシデントをエスカレーションします。 この際、これまでの経緯や試みた対応策を正確に共有することが重要です。 |
| 解決とクローズ | 解決策が確定したら、顧客に連絡し、問題が解決されたことを確認した上で、チケットをクローズします。 |
2. 問題管理(Problem Management)の運用フロー
問題管理は、インシデントの根本原因を突き止め、再発を防ぐためのプロセスです。
インシデント管理と連携して行うことで、長期的なサービス品質向上に繋がります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 問題の特定 | インシデントの発生件数や種類を分析し、繰り返し発生しているパターンを特定します。 |
| 根本原因の究明 | 特定した問題に対し、5回の「なぜ?」を繰り返す「5 Whys分析」などの手法を用いて、根本原因を究明します。 |
| 解決策の立案と実行 | 根本原因を解消するための解決策(例:製品のバグ修正、FAQページの更新など)を立案し、実行します。 |
| 問題のクローズ | 根本原因が解消され、同様のインシデントの再発がなくなったことを確認し、問題をクローズします。 |
コールセンターがITIL導入で得られる具体的なメリットとKPI
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILの導入は、単なる業務改善に留まらず、組織に具体的な成果をもたらします。
ITIL導入で得られるメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 応対品質の均一化 | 体系的なプロセスと共有されたナレッジにより、誰が対応しても高品質なサービスを提供できます。 |
| 業務効率の劇的な改善 | 定型業務の自動化やプロセス標準化により、オペレーターの対応時間が短縮されます。 |
| コスト削減と生産性向上 | 対応時間の短縮や再対応の減少により、運営コストを削減し、生産性を向上させます。 |
| データに基づいた改善活動 | 応対履歴や解決時間などのデータをKPIとして可視化し、PDCAサイクルを回すことができます。 |
ITILと関連性の高いKPIの計算式と改善策
FCR(初回解決率:First Call Resolution)
| 計算式 | 初回解決できた問い合わせ数 ÷ 総問い合わせ数 × 100 (%) |
|---|---|
| 目標値 | 70%以上が理想 |
| 改善策 | ナレッジベースの充実、オペレーターの教育強化、解決率の高いFAQの作成 |
AHT(平均処理時間:Average Handling Time)
| 計算式 | (平均通話時間 + 平均後処理時間) (秒) |
|---|---|
| 目標値 | 業種や業務内容によるが、効率化の重要な指標 |
| 改善策 | トークスクリプトの最適化、CRMシステムとの連携による顧客情報の即時表示 |
解決率
| 計算式 | 解決に至った問い合わせ数 ÷ 総問い合わせ数 × 100 (%) |
|---|---|
| 目標値 | 90%以上が理想 |
| 改善策 | エスカレーションルールの見直し、オペレーターのスキルアップ研修 |
ITILに準拠したコールセンターシステム・ツール
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILの運用をスムーズに進めるには、それに準拠したITサービスマネジメント(ITSM)ツールやサービスデスクツールが不可欠です。
これらのツールは、インシデント管理、ナレッジ管理などを一元的に行えます。
主要ベンダーの例
| ツール名 | 特徴・おすすめポイント |
|---|---|
| ServiceNow | ITILに完全に準拠したサービスマネジメントプラットフォーム。 IT部門だけでなく、他部門の業務プロセスも統合できます。 |
| Zendesk | 使いやすさが魅力のカスタマーサービスプラットフォーム。 ITILの主要なプロセスにも対応しており、中小企業でも導入しやすいです。 |
| Freshservice | ITILの概念に基づいた、シンプルで直感的な操作が特徴。 IT部門だけでなく、あらゆる部署のサービスデスクとして活用できます。 |
コールセンターITIL導入のステップと成功のポイント
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILを導入する際は、以下のステップとポイントを意識することで、失敗のリスクを減らすことができます。
導入のステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 現状分析と目的設定 | まずは現在の課題を洗い出し、ITIL導入で何を達成したいかを明確にします。 |
| プロセスの設計とツールの選定 | どのITILプロセスを適用するかを決め、それに適したツールを選びます。 |
| テスト運用と教育 | 小規模なチームでテスト運用を行い、オペレーターへの教育を進めます。 |
| 本稼働と継続的な改善 | 本稼働後も、KPIを定期的に測定し、改善を繰り返します。 |
成功のポイントと導入時のリスク
| 成功のポイント | 内容 |
|---|---|
| IT部門との連携 | ITILはIT部門のフレームワークです。 IT部門と密に連携し、共通のゴールを持つことが成功の鍵となります。 |
| すべてを一度にやらない | ITILのすべてのプロセスを一度に導入しようとすると失敗しがちです。 まずはインシデント管理とナレッジ管理など、最も効果が出やすいプロセスから始めましょう。 |
| PDCAを回す文化を築く | ツールを導入するだけでなく、改善を継続する文化を組織に根付かせることが最も重要です。 |
導入時の具体的なリスクと対策
リスク1:オペレーターの抵抗
新しいツールの使い方やプロセス変更のメリットを丁寧に説明し、十分な研修を実施します。
リスク2:IT部門との連携不足
定期的なミーティングを設ける、両部門に共通の目標を設定するなど、連携を強化する仕組みを作ります。
リスク3:ツールのオーバースペック
自社の規模や課題に合ったツールを慎重に選定し、まずは最小限の機能から始めることを検討します。
コールセンターITILと最新技術(AI・自動化)の連携
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILは、ITサービスマネジメントの古典的なフレームワークと思われがちですが、AIや自動化技術と組み合わせることで、その効果はさらに高まります。
ITILとAI活用
| AI活用機能 | 内容 |
|---|---|
| 自動分類と自動アサイン | AIが問い合わせ内容を解析し、自動的にカテゴリ分類や担当者への振り分けを行います。 これにより、インシデント管理の初期プロセスが大幅に効率化されます。 |
| チャットボットとFAQ連携 | チャットボットにナレッジベースを連携させることで、簡単な問い合わせは自動で解決できるようになります。 これにより、オペレーターはより複雑なインシデント対応に集中できます。 |
| 音声認識と応対分析 | AIが通話内容をリアルタイムでテキスト化し、キーワードや感情分析を行います。 これにより、問題管理の根本原因特定や、オペレーターのパフォーマンス評価が容易になります。 |
コールセンターでITIL導入成功事例(業種別)
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILは、様々な業種のコールセンターで活用され、大きな成果を上げています。
事例1:IT機器メーカーのテクニカルサポート
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 問い合わせ件数が多い一方で、オペレーターのスキルにばらつきがあり、解決までに時間がかかっていた。 |
| ITIL導入内容 | インシデント管理プロセスを標準化し、チケット管理システムを導入し過去の解決策をナレッジベースに蓄積し、オペレーターがいつでも参照できる体制を構築。 |
| 成果 | FCR(初回解決率)が45%から75%に向上し解決までの平均時間が30%短縮され、顧客満足度が大幅に改善。 |
事例2:BtoB SaaS企業のカスタマーサポート
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 新機能のリリースが頻繁に行われ、問い合わせ内容が複雑化していた。 |
| ITIL導入内容 | 問題管理プロセスを導入し、特定のバグや仕様に関する問い合わせの根本原因を特定。新機能のリリース前に、変更管理プロセスに準拠した影響評価を徹底。 |
| 成果 | 問い合わせ件数が前年比で15%減少。新機能リリース時のトラブルが大幅に減少し、オペレーターの負担が軽減された。 |
コールセンターとITIL「よくある質問(FAQ)」
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドQ. ITILとは何ですか?
A. ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスを効率的かつ高品質に提供するための、世界的に広く活用されているベストプラクティス(成功事例や手法)をまとめたものです。
単なる手順書ではなく、組織のITサービスマネジメント全体を改善するための枠組みとなります。
Q. ITILを導入するのに資格は必要ですか?
A. 必須ではありませんが、ITILの概念やプロセスを学ぶためにITILファンデーションなどの資格取得は役立ちます。
まずは、チームの数名が学習するだけでも効果的です。
Q. ITILはITサービスデスク以外にも使えますか?
A. はい、使えます。
ITILの考え方である
「サービスを効率的かつ高品質に提供する」
という概念は、人事、総務、経理など、あらゆる部門のサービスデスクに適用可能です。
Q. ITIL 4とITIL v3(またはV2)の違いは何ですか?
A. ITIL 4は、従来のV3よりも柔軟で適応性の高いフレームワークへと進化しました。
ITSMの4つの側面(人、情報、パートナー、価値の流れ)を重視し、アジャイルやDevOpsといった新しい概念を取り入れています。
【まとめ】コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイド
コールセンターとITILの関係性とは?ITILはサービス品質を向上させる実践ガイドITILの導入は、コールセンターの単なる業務効率化にとどまりません。
それは、顧客へのサービス提供を体系化し、属人性を排除し、データに基づいた継続的な改善を可能にするための戦略的な投資です。
これにより、コールセンターは
「問い合わせ対応のコストセンター」
から
「企業の価値を高めるサービスマネジメントの拠点」
へと変革を遂げることができます。
この記事を参考に、ぜひITILを活用した次世代のコールセンター構築に挑戦してみてください。

























































































